後編

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 もちろん恭史郎は、QGの事務所には報告しなかった。その日が過ぎるまで、しばらく自分のマンションに閉じこもろうとしていたのである。  が……。 「おはよう! まだ寝てるの? みんな待ってるわよ、早く行こうよ!」  遠くから聞こえる鶏の鳴き声と共に、晴美の元気な声が、ドアの新聞の差し込み口から響いていた。  ここは返事をしない方がいい。居留守を決め込むんだ。その内あきらめて帰るだろう。  ――と思いきや、 「ちょっと、早く起きて!」  いつの間にか晴美が恭史郎の体を揺さぶっていた。  だてや酔狂で殺し屋をやっているわけじゃない。鍵のかかった部屋に入ることなんか朝飯前なのだ。 「今日から一般人なのよ。もう殺さなくていいんだから。安心して起きなさい」 「ご、ごめん。夕べ徹マンで……」  と言い訳しても、万事休す。恭史郎はしぶしぶ起き上がった。もう、行くしかないのである、恐怖のジェットコースターがある遊園地に……。 「――じじい! 本当に動かないんだろうな」 「大丈夫です。場内放送で機械が故障したと言わせますから」 「本当だろうな」 「信用してください。ですから、私の命だけは……」
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