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「あ、えっと……何でもない!」 あたしは慌てて首を横に振ると、エレナにニコっと笑って見せた。 雷牙のことは、エレナにも言っていない。 部活を休むわけにはいかないから、なんとかして雷牙を誤魔化さないと…… 「ほら、部長が早く行かないとみんな部室に入れないよ?」 「そうだけど……繭香、何か隠してない?」 「何でもないって。 早く行くよ!」 まだ少し不思議そうな顔をしているエレナの背中を押して、あたしはダンス部の部室へと向かった。 エレナは勘が良いから、きっとこれ以上話していたらバレてしまう。 エレナを……学校を巻き込むわけにはいかないから。
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