4399人が本棚に入れています
本棚に追加
だからこそ、そんな事を気にもしないで仲良く接してくれるフェルとティナを、彼は心から感謝していた。
今回の戦争で、多くの者が命を落とすだろう。
彼は必ず二人を護り、そして必ず昇格してみせると決意を固めていた。
ラスベルがここまで昇格に拘るのには色々と訳があるが、それを知っているのは親友のフェルと父親だけだ。
(……見てろ。必ず僕は城に行く。そして絶対に彼女に……)
ラスベルは昔を思いだし、小さく拳を握り締めて震える。
彼は今、自宅の玄関の前にいたが、何故か中々家に入ろうとはしなかった。
そしてやがて目を閉じて、大きく深呼吸を繰り返す。
「……よし!」
あれからフェル達と別れたラスベルは、これから父親の説得を試みようとしていた。
兵士になるには、恐らくこれが一番の難関である。
彼は意を決して、ついに玄関の扉を勢いよく開いた。
最初のコメントを投稿しよう!