ラナ王国 (蒼い髪の美青年編)

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……………… 父レオナルドとラスベルの、恐らく初めての真剣勝負が行われた。 しかしその勝負は、僅か数秒で決着がついてしまう。 互いに纏ったオーラの差が、床に転がるラスベルの敗因である。 「うっ……く、くっ……」 父親に、思いきり殴られた頬がズキズキと痛む。 だがその傷みより、あまりに悔しくて彼は泣いていた。 「…………暫く寝てろ」 レオナルドは腰に剣を納めると、それ以上何も云わずに仕事を始めた。 「……………」 自分を殴り飛ばし、そのまま仕事を始める父の後ろ姿を、ラスベルは床に転がりながら、ぼんやりと眺めている。 飛び掛かった彼は、オーラを纏う事で超人的な速さを見せた。 しかし父親の練磨されたオーラは、自分のそれとは比較にならなかった。 レオナルドは正確にラスベルの剣を弾くと、オーラを解いた右手で彼を思いきり殴り飛ばしたという訳である。
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