ラナ王国 (蒼い髪の美青年編)

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バトルオーラを纏える人間は、それほど多くはない。 しかし、決して稀有な存在といえる程では無かった。 だが、蒼いオーラを纏える者は、長いラナ王国の歴史の中で、殆ど確認されていない。 ここ最近では、恐らくレオナルドただ一人だろう。 更に彼は、バトルオーラの使い方を、完全にマスターしているといっても過言は無い熟練者。 先程のラスベルとの闘いでも、右手のオーラだけを消して殴る等、他の使い手からしたら、信じられない神業だった。 これ程までの男が、何故、最下層階級なのか。 その謎は、今から一年前に首都で起きた事件に起因する。 そしてレオナルドは、その事件を境に、ラスベルにも他人にも厳しい性格になってしまった。 特に彼は、この村に越してきてからというもの、息子であるラスベルを鍛えに鍛えた。 ラスベルは、そんな父親の気持ちがよく理解出来た為、彼に逆らう事なく従ってきた。 何故なら、一年前の原因が、自分だと確信しているからだ。 父親が人間嫌いになったのも、首都にいられなくなった事も、全ては自分のせいだった。 自分が強ければ、そして僅かな勇気があれば、恐らく母は死なずに済んだのだから。
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