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そして、それだけでは無い。
ラスベルは、自分のせいで母親だけでなく、恋人までも失ってしまったのだから。
ただ恋人と言っても、ラスベルが好きだっただけで、正式なお付き合いの間柄では無い。
だが彼は、彼女と離れ離れになったことが、何より辛かった。
……………
そして、この一年。
ラスベルは亡き母親への謝罪と、失った恋人の為に、驚くほど逞しく成長した。
いつか首都へ戻り、別れた恋人に逢いたい。
だからこそ、彼は是が非でも階級を上げたかった。
何故なら、別れた恋人は途方もなく高い階級の持ち主なのだから。
「……………」
床に寝そべっていたラスベルは、昔を思い出して目を閉じた。
そしてゆっくりと起き上がると、黙って仕事を続ける父に頭を下げた。
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