4399人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女の母は、セーラという。
元々は首都の西にある、ルノーという街の出身。
若い頃は、この田舎より遥かに大きいルノーの街で、一番の美人とまで云われていた。
更に容姿だけでなく、ティナ同様に気さくで、親しみやすい人物。
現在は40歳にも拘わらず、とても実年齢には見えない程、若々しい。
当然、村の皆からも好かれていて、また娘を溺愛している事でも知られる。
女手一つで娘を育て、美人でも嫌な顔一つしないで畑仕事もする。
こうなると、全く非の打ち所の無い良母に見えるが、ティナはセーラの行きすぎた愛情にウンザリしていた。
完全無欠の母の唯一の弱点、それは我が子への縛り。
強い愛情は、時として束縛に変わる。
ティナは、母から自由を奪われていた。
最初のコメントを投稿しよう!