ラナ王国 (蒼い髪の美青年編)

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彼女の母は、セーラという。 元々は首都の西にある、ルノーという街の出身。 若い頃は、この田舎より遥かに大きいルノーの街で、一番の美人とまで云われていた。 更に容姿だけでなく、ティナ同様に気さくで、親しみやすい人物。 現在は40歳にも拘わらず、とても実年齢には見えない程、若々しい。 当然、村の皆からも好かれていて、また娘を溺愛している事でも知られる。 女手一つで娘を育て、美人でも嫌な顔一つしないで畑仕事もする。 こうなると、全く非の打ち所の無い良母に見えるが、ティナはセーラの行きすぎた愛情にウンザリしていた。 完全無欠の母の唯一の弱点、それは我が子への縛り。 強い愛情は、時として束縛に変わる。 ティナは、母から自由を奪われていた。
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