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「だ、黙ってないで、何とか言いなさい!」
セーラは遂に立ち上がり、ドンッと机を両手で叩いた。
その途端、元々華奢な作りの洒落た机の脚が、無惨にも折れ曲がる。
(………………)
斜めに倒れた可哀想な机を見つめたまま、ティナは漸く口を開いた。
「………お母さん、いい加減にして」
「…………は?」
ティナは、消え去りそうな小声で呟いたが、セーラは眉間に皺を寄せて目を細める。
「………い、いい加減にしてって言ったのよ!!」
母と同じく立ち上がったティナは、激しい怒りと共にセーラを睨みつけた。
「な、な、何て……!?」
「何で?はっ?う、煩いんだよ!いっつも何時も何時も何時も!!」
ティナが母に怒鳴るなど、恐らく初めての事だった。
精神的に可笑しいセーラを哀れに思い、ティナはずっと母の命令に素直に生きてきた。
けれどそれは、決して、母の為ではない。
母に逆らうのが怖くて、そう自分に言い聞かせて、言い訳していただけだった。
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