ラナ王国 (蒼い髪の美青年編)

38/59
前へ
/2482ページ
次へ
「だ、黙ってないで、何とか言いなさい!」 セーラは遂に立ち上がり、ドンッと机を両手で叩いた。 その途端、元々華奢な作りの洒落た机の脚が、無惨にも折れ曲がる。 (………………) 斜めに倒れた可哀想な机を見つめたまま、ティナは漸く口を開いた。 「………お母さん、いい加減にして」 「…………は?」 ティナは、消え去りそうな小声で呟いたが、セーラは眉間に皺を寄せて目を細める。 「………い、いい加減にしてって言ったのよ!!」 母と同じく立ち上がったティナは、激しい怒りと共にセーラを睨みつけた。 「な、な、何て……!?」 「何で?はっ?う、煩いんだよ!いっつも何時も何時も何時も!!」 ティナが母に怒鳴るなど、恐らく初めての事だった。 精神的に可笑しいセーラを哀れに思い、ティナはずっと母の命令に素直に生きてきた。 けれどそれは、決して、母の為ではない。 母に逆らうのが怖くて、そう自分に言い聞かせて、言い訳していただけだった。
/2482ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4399人が本棚に入れています
本棚に追加