ラナ王国 (蒼い髪の美青年編)

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「わ、私はね、ずっと貴女の幸せを考えて……」 明らかに動揺したセーラが、そう口にすると、最後まで言わせまいとティナは言葉を遮った。 「し、幸せ?冗談でしょ?か、彼氏を作るのはダメ、治癒魔法は使ってはダメ、遊んじゃダメ、外出も昼間以外はダメ、あれもダメ、これもダメ、ダメダメダメッ!!」 「ひ、ひぃ!?」 狂った様に怒鳴り散らすティナの言葉に、セーラは怯えて踞る。 「はは、どうしたの?わ、私が怖いの?あ、あんなに愛してるって言ったじゃない!」 ティナは近くにあったコップを、思いきりセーラの側に投げつけた。 ガシャーンッと床に砕けたコップを前に、セーラは泣きながら、後退りを始める。 「や、止めて!お、お願いだから止めて頂戴!」 「……………」 そんな余りに哀れな母を見て、ティナは自然と涙が溢れた。 セーラはもう、ただ怯えるばかりで、訳の解らない事を喚いている。 (…………この人はもう、駄目だ) ティナは溢れる涙を止める事が出来ず、哀れな母の側にしゃがみ込んだ。
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