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フェル家。
ティナの家の少し離れた場所に建つ、この村では大きめな住宅。
彼の父親は村長と同じD階級であり、この村では一番の権力を有していた。
家族は、フェルを除けば両親と姉の三人。
元々この村の生まれで、何代も続く名家である。
勿論、それはこの村に限っての事ではあるが、寂れたこの田舎では誰もフェル家には逆らえなかった。
父親は村の役人勤めだし、母親は農作業のリーダー。
さらに姉は、村長の息子と結婚していて、小さな頃からフェルは我が儘放題に育った。
何一つ不自由なく、同世代の村の子達は、彼の顔色を伺っては付き従う。
フェルが子供の頃は、自分が偉くて強くて、周りの者達はそんな自分を尊敬してるんだと思っていた。
だが成長するにつれ、それは間違いだったと悟る。
友達だと思っていた者達は、誰一人として友達では無かった。
皆は彼の後ろにある、フェル家だけが怖かったのだ。
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