ラナ王国 (蒼い髪の美青年編)

44/59
前へ
/2482ページ
次へ
彼が、現在の様に陽気で明るい男になるのは、ラスベルと出逢ってからである。 …………… 今から一年前。 ラスベル一家は、首都からこの田舎のイース村に越してきた。 首都から来ただけでも珍しいのに、ラスベルの容姿は一際目立った。 この事は、当然フェルの耳にも入る事になり、初めてラスベルを見た時、高らかに嘲笑った。 「オカマのラス子ちゃん」 フェルが、ラスベルにつけたアダ名である。 ラスベルは馬鹿にされても、何を言われてもフェルを無視した。 最初のうちは、意気地無しのオカマ野郎と馬鹿にしていたフェルだったが、段々と無視される事に苛立ちが募ってくる。 ラスベルが村人と馴染めなかったのは、彼の父と容姿もあったが、一番の理由は、フェルが孤立化させた為である。 しかし、それでもラスベルは堪えた様子は無く、黙々と一人で剣の練習を続けるばかりだった。 例えどんな嫌がらせをしても、彼は微塵にも動揺しない。 その事が、フェルに激しい怒りを生み出させた。
/2482ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4399人が本棚に入れています
本棚に追加