4399人が本棚に入れています
本棚に追加
「こ、この野郎!」
止めてくれと懇願するのを期待していたのか、どれだけ蹴っても屈しない彼に、皆の顔色が変わってくる。
そして未だに威圧感を放ち続けるフェルに対し、ついに彼等は怯え始めた。
「…………ペッ!」
やがて一区切りがついた時、フェルは口の中の血を、唾と一緒に吐き出した。
「てめぇ等………後で、どうなるか解ってんだろうな?」
その眼光は凄まじく、とても腑抜けたとは思えない。
「くっ……く、くそ!」
そんな台詞を吐きながら、大勢の男達は後退さる。
終いには、フェルを縛った最初の男以外、誰も彼に近寄ろうとしなくなった。
「…………随分と威勢がいいな、この屑野郎が!」
恋人を奪われた男は、フェルの顎を掴んで睨みつける。
「……これで満足か?あんなブスを寝取られただけで………ククッ」
微塵にも動じないフェルの態度とその言葉に、男は激しい怒りを顕にした。
「こ、この野郎!ゆ、許さねぇ!絶対に許さねぇぞ!!」
身動き出来ないフェルを、男は幾度となく殴り続ける。
(……あ~あ、情けねえ……この俺が本当に情けねえ……)
余りに殴られ過ぎたのか、段々と意識が遠退いていく。
そして気を失いそうになった時、男が殴るのを止めた。
最初のコメントを投稿しよう!