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「お、おい、やり過ぎだよ。これ以上は死んじまうぜ!?」
男を止めたのは、周りの取り巻き連中だった。
「………あ?」
男が、そう苛立ちながら返事をすると、彼は腰から剣を引き抜く。
「お、おい、待てよ?ま、まさかお前、さ、最初から……」
フェルを拉致する計画を立てたのはこの男だが、後で事故に見せて殺すという事は伝えていない。
「クックッ、こんな奴、死んだ方がこの世の為だ」
ザクッ!
「っ!?」
男が笑ってフェルの脚に剣を突き刺すと、周りの連中は、慌てて後退りを始める。
「じ、冗談じゃねぇ!お、俺は何も知らねぇぞ!」
連中の一人が、そう言ってこの場から逃げ出すと、次々に彼等は我先にと走り出した。
「……ちっ!馬鹿共が!!」
やがて男以外に誰もいなくなると、フェルは脚から流れる血をみながら言った。
「……お前ももう止めとけ、今なら引き返せる」
そんな事を言うフェルに、男は冷たい目をして脚から剣を引き抜いた。
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