ラナ王国 (蒼い髪の美青年編)

51/59
前へ
/2482ページ
次へ
「お、おい、やり過ぎだよ。これ以上は死んじまうぜ!?」 男を止めたのは、周りの取り巻き連中だった。 「………あ?」 男が、そう苛立ちながら返事をすると、彼は腰から剣を引き抜く。 「お、おい、待てよ?ま、まさかお前、さ、最初から……」 フェルを拉致する計画を立てたのはこの男だが、後で事故に見せて殺すという事は伝えていない。 「クックッ、こんな奴、死んだ方がこの世の為だ」 ザクッ! 「っ!?」 男が笑ってフェルの脚に剣を突き刺すと、周りの連中は、慌てて後退りを始める。 「じ、冗談じゃねぇ!お、俺は何も知らねぇぞ!」 連中の一人が、そう言ってこの場から逃げ出すと、次々に彼等は我先にと走り出した。 「……ちっ!馬鹿共が!!」 やがて男以外に誰もいなくなると、フェルは脚から流れる血をみながら言った。 「……お前ももう止めとけ、今なら引き返せる」 そんな事を言うフェルに、男は冷たい目をして脚から剣を引き抜いた。
/2482ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4399人が本棚に入れています
本棚に追加