4401人が本棚に入れています
本棚に追加
/2482ページ
……………
暫くして、フェルは見慣れない部屋のベットの上で目が覚めた。
しかし、身体はピクリとも動かす事が出来ず、無理矢理起こそうとしたら激痛が走った。
「いっ、いててててっ!」
思わず、そう情けない声を上げると、誰かがベットの上から自分に覆い被さる様に抱き締めた。
「よ、良かった!本当に良かった!」
甘い香り、優しい暖かみ。
「お、お前………」
フェルが見たのは、涙で顔を濡らして自分を抱き締めるティナの姿だった。
「……気がついたようだね。彼女が寝ずに看病してくれたんだよ」
そこには、ほっとした笑顔で紅茶を運ぶ、ラスベルの姿もあった。
「な、何で………」
フェルは漸く身体を起こすと、ティナを優しく離して彼に尋ねようとした。
「何で?助けた事?理由なんか無いよ。そんなの、当たり前じゃないか」
ラスベルは紅茶をフェルに差し出すと、屈託の無い笑顔でそう言った。
「あのねフェル、ここは彼の部屋なの。彼が、貴方をここに運んでくれたのよ?」
ラスベルから紅茶を貰ったティナが、一息ついてからそう付け加えた。
最初のコメントを投稿しよう!