ラナ王国 (蒼い髪の美青年編)

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…………… 暫くして、フェルは見慣れない部屋のベットの上で目が覚めた。 しかし、身体はピクリとも動かす事が出来ず、無理矢理起こそうとしたら激痛が走った。 「いっ、いててててっ!」 思わず、そう情けない声を上げると、誰かがベットの上から自分に覆い被さる様に抱き締めた。 「よ、良かった!本当に良かった!」 甘い香り、優しい暖かみ。 「お、お前………」 フェルが見たのは、涙で顔を濡らして自分を抱き締めるティナの姿だった。 「……気がついたようだね。彼女が寝ずに看病してくれたんだよ」 そこには、ほっとした笑顔で紅茶を運ぶ、ラスベルの姿もあった。 「な、何で………」 フェルは漸く身体を起こすと、ティナを優しく離して彼に尋ねようとした。 「何で?助けた事?理由なんか無いよ。そんなの、当たり前じゃないか」 ラスベルは紅茶をフェルに差し出すと、屈託の無い笑顔でそう言った。 「あのねフェル、ここは彼の部屋なの。彼が、貴方をここに運んでくれたのよ?」 ラスベルから紅茶を貰ったティナが、一息ついてからそう付け加えた。
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