ラナ王国 (蒼い髪の美青年編)

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「………本当に、有難うな?」 フェルは旅支度を整えると、昔を思い出してそう呟いた。 元々彼の親は放任主義だし、あの一件から腑抜けた奴になったと、父親には嫌われていた。 母も姉も、フェルの事など気にも止めない。 何とも寂しい家族だが、彼は逆に感謝した。 「ま、この方が気楽だわな」 やがて彼は「首都に出掛ける」と大きく机に落書きして、生まれ育った大きな家を後にする。 そして鼻唄を歌いながら、背中に背負った剣を揺らして歩いた。 「待ってろよ………俺はぜってぇ~この国で、一番の男になる!」 フェルは意気揚々と、ラスベルとティナの待つ村の入口へと向かって歩いていた。 ……………… ラスベル、ティナ、フェル。 イース村の、仲良し三人組。 後に、彼等には恐ろしい運命が待っている。 想像を絶する戦いの火蓋は、もう直ぐ切られようとしていた。
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