ラナ王国 (蒼い髪の美青年編)

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「……………」 悲壮の覚悟で懇願する幼馴染みの涙を、フェルは真剣な表情で見つめている。 (………ったく、昔から何もコイツは変わってねぇな。俺は、いや俺がコイツを護ればいい………) やがて意を決したのか、フェルは彼女の涙を片手で優しく拭った。 「ったく仕方ねぇな、後で泣いてもしらね~ぞ!」 その言葉と、彼の優しい態度に彼女の顔はパアッと明るくなる。 「そ、それじゃ!?」 「あぁ、俺達はずっと一緒だ!」 「あ、有難うフェル!」 あまりの嬉しさに、ティナは自然と彼の胸に飛び込んだ。 「お、おいちょっと!」 突然抱き付かれたフェルは、何故か顔を赤らめ、彼女を慌てて引き離した。 「ち、ちょっとフェル、そんな事言って本当に大丈夫なの!?」 ラスベルは未だに納得のいかない表情だったが、既にやる気満々の彼等には、何を言っても無駄だと諦めるしかない。 勿論、ラスベルもティナが一緒に来てくれるのは嬉しい。 でも彼は本当に、彼女の事を心から心配していた。 (まぁ、決まった事は仕方無いか。ただ問題は………これからだよなぁ…) ラスベルは、何故か項垂れながら、その後の事を二人と約束して、一度解散する事にした。 勿論、二人もそれには反対せず、やがて各々が自宅へと戻っていった。
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