5人が本棚に入れています
本棚に追加
「始めまして、私の名前は美琴。後ろにいるのは私の兄、歩。あなたの――」
「――ストップ!それじゃダメよ!」
美琴がいつものようにカウンセリングを始めると、雫が制止させた。
「じゃあ、雫さんがして下さい」
美琴が席を譲ると、雫は優しく笑いかけながら話し掛けた。
「あなたのお名前、聞いても良いかな?」
「……かなで。もうすぐ、ろくさい」
「そっかぁ。じゃあ、お家はどこか解るかな?」
雫が聞くと、首を横に振った。
「お家には誰がいるのかな?」
「…おとうさん、おかあさん、おにいちゃん……」
「…うん、ありがとう」
そう言うと雫は振り向いて美琴を見た。
それを見て美琴は頷いた。
「じゃあ、そこのお兄ちゃんと一緒に待っててくれるかな?」
「うん!」
そう笑顔で言うと、歩に連れられて部屋を出た。
最初のコメントを投稿しよう!