エピソード3~前編~

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「ところでさ、なんで今日学校なの?今日土曜日だよね?」 「昨日もそうだけど、最近雨が多いでしょ?そのせいで火曜日のⅠ・Ⅱ限目の科学と数学が潰れて今日になったんだけど…」 そこまで言うと美琴は小さくため息をついた。 「…別に今日じゃなくて、夏休みにやれば良いのに」 「中等部も来るの?」 「まぁ、初等部以外の全校生徒は来るね。…じゃあ、行ってくるね」 「行ってらっしゃい」 玄関を出ようとした美琴がくるりと後ろを向いた。 「新しい相談者が来たら待機させてね。後、雫さんとこに行ってね。不安だから」 「…とか言っておいて、本当は心配なんで―――」 歩が言い終わる前にドアが音を立てて閉まった。 「……さて、美琴に怒られない内に雫さんとこに行こ」 今日もまた、美琴に無視された歩であった。
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