エピソード3~前編~

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「……来ないねぇ。今は教室に居ないのかな?」 愛香がそう言うと、1人の男の子がこちらにやってきた。 「…遠藤玲音は、俺ですけど。何か用ですか?」 美琴より少し背が高く、少し不安そうな表情をしていた。 「これ、君のでしょ?」 そう言いながら、美琴はノートを渡した。 「えっ!?これどこにあったんですか?」 「実験室。ご丁寧に時間割りも挟まってるから急いで持ってきたの」 「す、すみませんでした!」 そう言うと、彼は頭を深く下げた。 その時、彼の上着から何かが落ちた。 「何か落ちたわよ」 美琴はそれを見て、固まった。 「……美琴ちゃん?」 愛香が不思議そうに呟いたが、美琴はさっきと同じように言った。 「…今後、忘れ物や落とし物に気を付けてね」 「はい、すみません。届けてくれてありがとうございました」 それを聞くと美琴は教室を後にした。 「…玲音、実験室に忘れてたのか?よく今まで気付かなかったな」 「…うるさい。たまにはあるんだよ!」 そう言うと、玲音はさっき拾ってもらった物を見た。 (……生きてれば、おまえも今頃は――)
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