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「……来ないねぇ。今は教室に居ないのかな?」
愛香がそう言うと、1人の男の子がこちらにやってきた。
「…遠藤玲音は、俺ですけど。何か用ですか?」
美琴より少し背が高く、少し不安そうな表情をしていた。
「これ、君のでしょ?」
そう言いながら、美琴はノートを渡した。
「えっ!?これどこにあったんですか?」
「実験室。ご丁寧に時間割りも挟まってるから急いで持ってきたの」
「す、すみませんでした!」
そう言うと、彼は頭を深く下げた。
その時、彼の上着から何かが落ちた。
「何か落ちたわよ」
美琴はそれを見て、固まった。
「……美琴ちゃん?」
愛香が不思議そうに呟いたが、美琴はさっきと同じように言った。
「…今後、忘れ物や落とし物に気を付けてね」
「はい、すみません。届けてくれてありがとうございました」
それを聞くと美琴は教室を後にした。
「…玲音、実験室に忘れてたのか?よく今まで気付かなかったな」
「…うるさい。たまにはあるんだよ!」
そう言うと、玲音はさっき拾ってもらった物を見た。
(……生きてれば、おまえも今頃は――)
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