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「美琴ちゃん、さっきはどうしたの?」
Ⅱ限目の数学が終わった後、愛香が心配そうに話し掛けてきた。
「どうもしないよ」
「…でも、動揺してたでしょ?隠さなくても良いのに」
愛香に言われて観念したのか美琴は小さくため息をついた。
「…愛香はそういうところは鋭いよね」
「…お仕事関連?」
愛香に聞かれて美琴は小さく頷いた。
「……あまり聞かない方がよかった?」
「いや、大丈夫。今、身元不明の6歳くらいの女の子を調べてあげてんだけど…」
「゙調べてる゙じゃないんだね」
「知り合いの同業者を手伝ってんだけど、その子の家族にこの学園に通ってる兄がいるみたいなんだけど……」
そこまで言うと、美琴は額に手を当てたまま黙った。
「…まさか……」
愛香も察して驚きながら美琴を見ていた。
「そのまさか。彼が落とした写真を見た瞬間さすがに驚いた…」
美琴はため息を吐くと、窓の方をただ見ていた。
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