黄色い花

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  裏山の頂上は桑畑である。 祖父母の代まで、僕の家は養蚕をしていたのだが、ずいぶん昔の話なので僕には当然その記憶は無い。 「まるでジャングルね」 千尋は髪にへばりついた蜘蛛の巣に困り果てた顔をして、僕は自分で秘密基地と名付けていた1番大きかった桑の木を捜している。 直くんが僕の家にいた頃もこの場所はジャングルだったし、今と同じように至る所に蜘蛛の巣があった。 日曜の午後とかには、直くんとよくここで遊んだ。 けれども僕は直くんを恨んでいた。 時々直くんに、いけない言葉を吐いていたのは間違いない。 ───そしてまた、ホトトギスの鳴き声が聞こえる─── 厳格な僕の親父だったが、彼が直くんを叱っていた記憶はない。 親父に叱られるたび、当時の僕は悩んだ。綱引きのロープに引きずられている気持ちだった。 ロープの引かれて行く先に、直くんが立っている気がしていた。 だから堪らずに、僕は直くんに嫌な言葉を吐いた。  
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