そして

3/8
前へ
/134ページ
次へ
いくつかの部活がロードワークをしていて。 その中にバスケ部もいて。 …自然と、目で追ってしまいます。 ロードワークをしている人達の中に、さっきまで一緒に話していた人の姿が見えて。 門へと向かって歩いていた足が、思わず止まってしまいました。 「…近江くん…」 思わず口から出たその名前。 ボリュームは極わずか、蚊の鳴くような声。 だから、近江くんに聞こえたわけがありません。 なのに…。 近江くんは走っていたその足を止めて、ゆっくりと振り返りました。 ぶつかる視線。 「……」 「笹原!」 笑顔がキラキラと眩しいです…。 「笹原、もー帰るの?」 距離があるからか、近江くんは大きな声で聞いてきました。 私は大きな声を出すのは苦手だから、大きめに一回、頷いてみせます。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加