はじまり

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そこでいったん会話が途切れて。 2人だけの教室は、しんっ…と静まり返りる。 「…あぁっ!」 しばらくの沈黙のあと。 急に大きな声を出したのは近江くん。 それに驚いた私の肩はぴくっ、と跳ね上がった。 「…ど、どうしましたか?」 恐る恐る声をかけてみれば。 「俺、部活抜け出してきてたんだ!早く戻らねーと…」 と、近江くんの声が返ってきて。 「大丈夫、ですか…?」って聞いたら、「ん…まぁ、大丈夫じゃね?」と笑う近江くん。 あぁ…近江くんって意外と楽観的? なーんて思ってしまうほど、あまり焦った様子の見えない近江くん。 「…なぁ笹原。映画、一緒に観に行く?」 突然そう言ってきた近江くん。 一瞬、何を言われてるのかわからなくて。 でもすぐに理解して。 …顔が熱くなるのが自分でもわかりました。 「…なーんて!冗談だから気にしないで?」 映画の公開日は、冬。
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