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いつだって、ゆきりんだった。 誰といても結局、 指原の特別は、あの頃からずっとゆきりんだけだった。 モエノちゃんが去っていったのは、 指原が、"欠けてる"からじゃなく、そのことに気づいたからなんだ。 指原がずっと、気づかないふりをし続けてきたことに、気づいたからなんだよね? 彼女を想う気持ちに嘘はなかったけど、 結局、指原は嘘つきだったんだ。 だってそもそも、 自分に対して、嘘ついてたんだもん。 でも……もう、やめよう… もう、無理だ……こんな、関係… 「ゆきりん」 「なに…?」 さっきまで指原を撃っていた手のひらを、そっと握る。 「指原ね、ずっと…ゆきりんが好きだったんだよ」 その手は、柔らかくて。 「ずっとずっと、特別だった。…んーん、特別なんだよね」 とてもあったかくて、安心する。 「みんなは、認めてくれないかもしれないけど」 ずっと、繋いでいたい。 「ゆきりんも、信じてくれないかもしれないけど」 離したくない。 「指原は、ずっと、ゆきりんに恋してるんだ」 願わくば、 「愛しちゃってんだよね」 ずっとずっと、守りたい。 守らせて? これが、指原の愛情なんだよ。 もう誤魔化せない。 たとえ、"恋人"になれなくても。
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