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わかんなかった。
正直、さっしーの言ってること、全然わかんない…
でも、
「指原は、ずっと、ゆきりんに恋してるんだよ」
って。
「愛しちゃってんだよね」
って。
さっきまで乱暴だったこの手を優しく包んでくれて、
あたしのこと、真っ直ぐ見つめてくれるその目は、どこか困ってるようで…
なのに、愛しい。
そうだよ。
よくわかんないけど、あたしもさっしーが好きなんだ。
好き、なんだけど…
そんな、言葉なんかじゃ足りなくて、
そんな、言葉で足りるようなものなんかじゃなくて。
だって、もう、好きなんて言葉じゃ収まらないよ?
ねえ、どうしたら伝わるのかな?
考えてもわかんないから、ぎゅっと抱き締めた。
抱き締めたいと思ったから。
そしたら、さっしーも抱き締めてくれた。
それが、とてつもなく嬉しくて。愛しくて。
そっと、キスをした。
キスしたいと思ったから。
さっしーの身体が少し強張った気がしたけど、あたしは、もうなんだかたまらなくなって。
深くキスをしようとした。
ビクンッ
びっくりして、動きが止まった瞬間。
さっしーがあたしをぐいっと押し返した。
え…
「ごめん…っ」
心の声が洩れたのかと思った。
でもそれは確かにさっしーの声で。
なんで、さっしーが謝るの?
なにが、ごめん、なの?
てか、あたし間違った?
なんか勘違いした?
謝らなきゃいけないのは…あたし?
でも…
さっきのキスで全ての酸素が奪われたかのように、頭が上手く働いてくれない。
それでもなんとかして絞り出したのは、
「さっしー…?」
ただ、あなたの名前で。
「…ごめん」
もう一度そう呟くと、目の前のさっしーは、目をぎゅっと瞑った。
同時に、涙が頬を伝うのが見えた。
そして、
離れてしまった体温が、
とても悲しかった。
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