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「…ごめん」 さっしーがそう呟いてから、どれくらい経った? 酸素不足のあたしの頭は、上手く働いてくれなくて… ようやく、口から出たのが、 「…ごめん」 さっしーと、同じ言葉だった。 言葉を吐き出したと同時に、少しずつ酸素が巡る。 そっと、さっしーの頬を伝う涙を拭う。 「ごめん、あたし…なんか勘違いしちゃったね…」 あったかいなあ… 愛しくて、困っちゃう… 「…っ、…じゃ、ない…」 さっしーは首を横に振る。 「そう…じゃ、なくて…」 まだその綺麗な瞳は閉じられたままで。 「ゆきりんが…とか、じゃ、なくて…」 歪むその表情に、胸がキリッと痛む。 「指原…なんか、そういう、の…ちょっと、無理…」 そんな顔させられんの、あたしだけだったら、いいのに。 「そういうの、って、キス?」 あたし、どっかおかしいのかな。 「…ん、…うん」 今なんか、 「えっち、も?」 とてつもなく、 「…うん」 さっしーが、愛しい。 ねえ、目、開けて? いつの間にか涙が止まった頬を、両手でそっと、包み込む。 その目で、あたしを見てよ… あたしだけ、を。 最後のチャンス…だよ? きっと、お願い。 「ねえ………あたしのこと、欲しい?」
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