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ゆきりんと一緒に住むようになったからといって、特に何かが変わることはなかった。
ちらほら帰ってこない日もあるし、傷痕は相変わらず。
どこかで何かを期待してたはずなんだけど、がっかりするわけでもなく。
時間は過ぎていく。
私達のおかしな関係も、続いていく。
「ただいまぁー」
「おかえり」
「わっ、今日ハンバーグ?いいにおいっ」
「大正解です!」
やったあ!って。笑う顔は無邪気でかわいいのに。
「いただきまーす!」
「…どう?おいしい?」
「うん!」
「よかった」
「さっしーってさ、意外と料理上手いよねー」
「意外と、は余計だよ」
「女の子っぽいとこもあるよねー、意外と」
「だから意外とは余計だっての…」
「いいお嫁さんになれるんじゃない?意外と」
「…」
「さっしー…?」
「…ん、ああ…どうだろうね、それは」
「え?」
「指原は、"欠けてる"から」
「だから、逃げられたんだよ…」
と、自嘲気味に呟く。
すると、一つ間を置いて。
「あたしなら逃げないのに、ね」
…は?なにそれ。
どういう意味?何言ってんの?
「ふふっ、何そんな驚いた顔してんの?」
「いや、らしくないこと言うから」
ああ…などと言い、含み笑い。
「だってさ、そういうんじゃないじゃん?あたしとさっしーは」
ああ、そういうことか。
すっきりしたはずなのに、まだゆきりんの鎖骨あたりに残る痕がとても目障りで。
でも、なんで目障りかは、全くわからなかった。
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