序章

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「うーん?おかしいな・・・?」 ふと、直哉が呟く。 それに気づいたアカネが微かに首を動かした。 「どうしたの?」 「いや、弾が勿体無いから、[30C弾]使ってるんだけど・・・。」 [30C弾]とは、このゲームで最も使われる弾丸で、値段が安く弾薬費もかからないが、威力が最も無い弾薬の一種であり、一撃など本来あり得ないのだ。 良くて中破で、最低ボディが凹むだけの安物弾丸なのだが、それでも敵は墜ちる。 アカネも引っ掛かる所があるらしく 「さっき、撃たれた。だけど損傷軽微どころか、無傷だった。」 アカネは喋りながらも敵機を撃墜し、直哉も撃ち抜く。 すると、回線から雨斗が喋りかけてきた。 「あの、撃墜するのはいいんですが・・・その、下には避難民とかが居るの忘れてないですよね?」 「「・・・あ、ごめん。」」 「やっぱり!?」 地上では忙しなくマシンガンを放ち、墜ちてくる破片を撃ち抜く『アルテミス』が見える。 森には一片の欠片すら落とさず、撃ちこぼした破片は腕を振るい、盾にしたりしてやり過ごす。 程なくして、一機の『type-I』が墜ちてくると、鉄の雨は止んだ。 「此方『神無月』レーダーに反応なし。」 「此方『桜花三式』敵機全撃破。」 「了解、全機地上に降りて怪我人の手当てをします。」 「『神無月』了解」 「『桜花三式』了解」 そして、『アルテミス』のコックピット内で、雨斗は息を漏らした。
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