序章

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(アラート。アラート。システムに深刻なエラーが確認されました。一時的にシャットアウトします) 「はぁ!?」 彼は素っ頓狂な声をあげる。 そして行きなりの暗黒に包まれた。 ・・・彼は釈然としない面立ちで起き上がる。見慣れた自室。 小汚ない勉強机に寂れたタンス。架かっている服。それらを見渡し、はぁ・・・っと溜め息を漏らす。 「・・・エラーか・・・。」 頭に装着されている機械をコンコンと小突く。 「スカイ・グリーヴァのデータ、破損してなければいいけど・・・。」 彼はもう一度溜め息を漏らす。再度電源を入れ、ディスプレイを下ろし、目を瞑る。 ―ログインパスワードを入力して下さい。― 「Amato.Hurumiya」 脳内で直接入力する。正確に言うと、文字のイメージを思えばいい。例えば「あ」と打ちたければただ「あ」という文字を脳内で書けばいい。 ―ログインパスワードを正確に認識しました。ようこそ、クリスク様。――クリスク様に三件のメールが届いています。― 彼、クリスクは首を傾げながら(仮想世界だが)メールの確認を行った。 ―パイナップル様からのメールです。― 「いきなりシャットアウトしました。すまない」 ―ヤクルト様からのメールです。―「データは大丈夫ですか?此方は大丈夫でした。」 クリスクは直ぐ様二人にメールを送った。 「此方も大丈夫でした、お二人も平気そうで良かったです(^^)」 ―メールを送信しました。― パイナップルとヤクルトというのはクリスク、(本名)古宮雨斗のオンラインフレンドであり、チームのメンバーである。二人とは話が合い、一緒にプレイしていく内に部隊を作り、良く行動を共にしている。 彼らが今プレイしているのは、新世代型ゲーム、DMMO-スカイ・グリーヴァと言うゲームで、自分の精神を仮想世界に送り、まるでその世界に入り込んだ様な感覚を楽しめるゲームだ。 クリスクは最後のメールを確認する。 内容は ―始まり― とだけ書いてあった。 そして、仮想世界が歪んだ。
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