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「パイナップルさん!ヤクルトさん!」
クリスクは慌てて二人に駆け寄り安否確認を行った。
パイナップルは背がスラリと高く、眼鏡を掛けており、銀髪を後ろで留めていていかにも美青年といったアバターだ。
次にヤクルトはパイナップルとは逆に、背が小さく、紅い髪をセミロングにしている美少女といったような感じだ。
対する自分は男とも女とも思われる中性的な童顔な顔立ちで(性別は男)髪は黒髮をウルフカットにしている。
アバターは現実を極限までに似せる最新鋭のシステムで99'5%はそっくりに作られるので、ほぼ自分の顔が出るのだ。
ぶっちゃけ雨斗自信名前負けしているのがコンプレックスだ。
「う・・・ん・・・?」
パイナップルを揺さぶっていくと微かな声がもれた。
「パイナップルさん、大丈夫ですか?」
肩を支える。
「・・・何だったんだ?あれは・・・。」
パイナップルが首を傾げる。
ヤクルトはまだ目を開けていない。
それどころか寝息をたてている。
「クリスク、君は大丈夫かい?」
パイナップルは自らの足で立つと、腰をひねり、ポキポキと音を鳴らす。
「パイナップルさんもあのチャットを?」
するとパイナップルは目を険しくする。
「ああ、現実世界の体を分解し、この世界に送り込むと言っていたね。」
「一体、どうなって・・・?それに、あのチャット・・・」
座り込み、手を左右に動かす。この動作は念じながら動かすとメニューを開ける様になっている。
クリスクはディスプレイを動かし、目的の文字を探す。
「・・・ログアウトがない。シャットアウトもない!」
このゲームは通常のログアウトと、非常用のシャットアウトが存在する。
その文字が、何処にもなかった。
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