2.約束だから。信じてるから。

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                ☆  階段は長かった、  照明は頼りなく足元を照らすのみ。  城内の部屋は等間隔で作られていた。だから、階段の長さは変わらない。目算でもそれがわかる。だというのに、その距離が零也には果てしなく長く感じられた。 『……ちょっと、しっかりしてくださいな』  見かねた香澄が霊力で語りかけても、零也は返事をしない。 (頭に血がのぼっている……なら簡単なんですけどね)  命を勝ち目のない戦いに放り込んだ。それは、零也にとってはあまりにも大きな出来事だった。予定していたことではある。だが、だからといって散葉を助ける為に命を犠牲にするかもしれないなどという状況を許容できはしない。  走る足は止まらない。速度も落とさない。 (これは思ったよりも深刻ですね)  修行中、一度もこんなふうに零也が揺らいだことはなかった。散葉を助けることに躊躇いはなかった。その一途さは迷わぬが故のもの。けれど零也はいま迷っている。  命の意志を曲げてでも助けに行くべきなのではないか。否、それで散葉を助けることができなけばなんの意味もなくなってしまう。雨天の姫の死すら無意味なものに。  そんな風にとめどなく思考が溢れていく。それが、香澄には感じられる。 「開けるよ。扉だ」  ぎぃ、と開いたドアの先。そこは一面水浸しだった。  先ほどと同じ大きさのとても広い部屋だ。その中心に少女が立っていた。 「はじめまして。私は白夜さまの部下、ロット・ノー―― 」
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