2.約束だから。信じてるから。

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 居合の構え。そこから放たれるのは――。 (ちょっと! こんな小物に風断之魂を撃つ気ですか!?)  水の中で構えをとったのに気付いたロットが行動を起こすよりも早く零也の腕が動く。  が、それよりもさらに早く――この部屋の壁が一部吹き飛んだ。  高層ビルが倒壊するような轟音に驚いて、ロットの術が途切れ、零也は床に下ろされた。けれど、今度は零也が動けない。土煙の中から聞こえてくる声には、聞き覚えがありすぎた。 「ゲホゲホ! ちょっとは考えて壊しなさいよ!」 「うるっせぇな! 加減してたらびくともしなかったんだから仕方ねぇだろ!」    零也と散葉とは別方向に空気を読まないやりとりをしながら現れたのはやはり良く知った二人だった。 「よぉ、親友」 「政基、くん」  零也にしてみれば一年と一月。実際は一月が白夜の強襲から経っている。けれど変化は明確だった。  前に雪崩荘で見た半纏を着ているからよくわかる。もともと力を使うときは腕に紋様が浮かんでいたが、今は更にそれが濃い。もはや、ただ黒いようにしか見えないほどだ。筋肉も目に見えて増量している。額に生えている二本の角のうち右側は先端が欠けている。 「……これでも死に物狂いで修行したんだけどよ、やっぱり差は開くばっかりだな」  その言葉で零也は我に帰った。そう、ここは白夜の本拠地なのだ。否、もはやそれは問題ではない。白夜が、ここには居るのだ。 「ま、政基くんどうして来たの!? こ、ここは危ないんだよ!? は、早く逃げて!」
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