2.約束だから。信じてるから。

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 必死に呼びかける零也を見て、政基は目を瞬かせた。そしてそのまま近づき、おもむろに零也の頭にげんこつを落とした。 「いっったぁあ!?」 「お、零也だ」  どうやら、偽物の線を疑ったらしい。 「な、なにするの!?」 「お前が変なこと言うからだろ。俺は、ただ約束を果たしに来たんだ。お前とした約束をな」  両の拳をたたき合わせ、今だ状況がつかめないロットに視線を移す。 「ありゃ、敵か」 「え? う、うん。お姉ちゃんの部下だって……」  もう、零也もロットと同じく混乱の極みにいた。政基だけならまだしも、彼はわざわざ響までつれてきているのだ。らしくない。 「じゃあ、あれはもらう」 「へ?」 「あれは、俺が倒す」 「どうして!」  叫ぶ零也に、政基は無言で背を向けた。 「まだわかんねぇか。ちょっとへこむぜ」 「わからないよ! 死んじゃうかもしれないんだよ!」 「その覚悟はとっくにできてんだよ、こっちは。腹くくれ、零也」  ずん、と音をさせて政基が構えをとる。大きく足を開き、重心を安定させた構えだ。 「今更、お前の傲慢さをどうこう言いやしないし、俺はきらいじゃねぇよ。だけどな、お前は言ってくれたんだ。俺に背中を任せるって」 「あ……」  困ったように頭をかいて、政基は続ける。
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