2.約束だから。信じてるから。

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「お前なら、こいつくらい楽勝だってわかる。だから俺が戦う必要はないのかもしれない。だけど、そうじゃねぇんだよ。任されたんだ。俺は、命を賭けてでもここを通さねぇ。お前がなんと言おうと。もしも、俺を死なせたくないんなら、さっさと終わらせて戻ってこい」  白夜を止め、散葉を助ける。それがどれだけ難しいかくらいは政基にだってわかる。わかった上で、早く帰って来いと彼は言ったのだ。傲慢ならば、それを貫き通せと。自分の命をも救って見せろと。 「あはは。香澄に心配されるわけだね。なんにもわかってなかったんだね。僕は。覚悟が足りないのは、僕だけだったんだ」  ここに来てうじうじと悩んでも、仕方ない。わかったつもりになって、その問題を引きずっていた。けれどもう違う。今度こそ、本当の意味で零也の戦いが始まる。 「零也、これ。お母さんから聞いて、用意しといた私たちの霊力の結晶。使って」 「ありがとう」  それを受け取って、零也も政基がしたように背を向けた。 「……政基くん。もう一度言うね。僕の背中をお願い」 「任せろ」 「僕が必ず君を助けるよ」 「どうだかな。追いついて、手伝ってやるよ」 「その頃には終わってると思うよ?」 「言ったな?」  お互い、顔も見ず同時に笑う。 「気張れよ、相棒」 「任せて、親友」  それが最後だった。  零也は走りだす。迷いはない。  今度こそ。ここが零也の本当のスタート。
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