2.約束だから。信じてるから。

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 それによって姿を消した氷。けれど、零也の目は雪鬼を捉えられない。猛烈な吹雪が零也の視界を塞いだからだ。  次々に展開される戦法。そのいずれもが未知。普段の彼がどれだけ手を抜いているのかわかる。 「無駄です! 僕から逃げたいなら目を潰してもだめですよ!」  この吹雪の中、零也は正確に雪鬼の位置を捉えていた。霊力による補足。たとえ、相手が散葉でなくとも攻撃圏内程度の敵ならば見つけるのはわけもない。  前進する零也に、やはり氷塊が飛んでくる。 「らしくないですよ! 正々堂々、正面から来ないんですか!」  かわし、弾き、砕きながら零也の前進は続く。 「正々堂々。くだらん。だが――」  急速に、吹雪が一点に収束する。渦を巻いてただ一点。右の拳にすべてが凝縮される。 「全身全霊は尽くそう!」  雪の結晶の紋様が両手に刻まれ、氷の角が両のこめかみから突き出る。 「刹激華!」  連打。一撃一撃が巻き起こす氷の竜巻。切り裂くたびにその余波が零也の体温を奪う。  そして、海溝を創り上げたと謳われる拳が地面を割った。裂けた地面に落ちる零也へ雪鬼はダメ押しの連打を叩き込む。  香澄の無効能力をもってさえ守りきれぬ猛攻。しかし、暗闇の中零也の瞳が光る。 「馬鹿な、今のをしのいだというのか」  逃げ場のない空間へ、物量にものを言わせた 攻撃を仕掛けた。それは必ずや、零也を凍りつかせるはずだった。技そのものは消せても、余波はこの中では消しきれず、零也を追い詰めるはずだった。 「貴様……この我の氷に同化したというのか!」
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