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☆
闇が満ちている。
城の最上階、祭壇の間は様相を変えていた。窓からの光もなく、ひたすらに暗い。貼り付けにされた散葉が淡く放つ光だけが、白夜を照らしていた。
目を閉じて、力を吸い上げる白夜。その表情は今に至って、苦しげなものだった。
「そう、そういうこと」
白夜は歯噛みするように呟いた。
「それが最後の防衛機構ってわけね」
散葉を通して、白夜は星羅とつながった。そして、散葉越しに星羅の魂を奪う予定だったのだ。
だが、ここに来て誤算が生まれてしまったのだ。
散葉に食いついている白夜の『神喰らい』が先程から触れている魂は星羅のものだけだった。どれだけ探しても、散葉にたどり着かない。
つまり、逆だった。
星羅の魂を隠しているのが散葉なのではなく、散葉の魂を隠しているのが星羅。
本来ならばなんの問題もない。このまま、星羅の魂を奪えばいい。だが、違うのだ。それで使えるようになるのはその膨大な霊力のみ。
星神の真価。全能たる創世のチカラ。それを使うための鍵が、星羅の中には存在しない。となれば、それがある場所は自ずと限られる。
「鍵は散葉さん。そういうことなのね」
僅かに逡巡して、再び目を閉じる。
「なんとしても、私はそれが必要なの。渡してもらうわよ、散葉さん」
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