・星の記憶~終焉~

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★    全て、手遅れだった。  その幸せは、手遅れだったから生まれたものだった。  咲夜と名付けられたその少女が生まれた時から、彼女が家族となった時にはもう決まっていた終わり。  それは、月のない夜のことだった。 「星羅はまだ帰っていないわけ?」 「一朝一夕でできることじゃないわよ。この世の仕組みを変えるんだもの」  いつもと同じ。火を輪になって囲んでいた。星羅の居ない団欒は少し、活気に欠けていた。一日ではないのだ。今日でもう一週間になる。 「もうじきだよ。大丈夫。星羅なら、きっと」 「星羅様が帰ってきたらお祝いをしたいですねぇ」    鈴のその言葉に珍しく、金華之姫も頷いた。 「たまには良い事言うじゃない。宴か。いいんじゃないの?」 「なら準備しなくちゃね」  そう言って立ち上がろうとした華音は何気なく、咲夜の手を引いていた。しかし、彼女は立ち上がってはくれない。 「どうしたの、咲夜。準備がいやなの?」
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