761人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言っているうちにあたりの温度が下がっていく。
「真は鈴を。金華之と華音は一緒にいるんだ」
そう言って、輝人が一歩踏み出すと同時に、辺りを照らしていた火が、消えた。
「っ……!」
その直後、強い風が吹いた。空に吹き上げる様な――吸い上げるような強い風が。
「あ……あ……!」
それが引き金だった。
人形のように固まっていた咲夜は途端に半狂乱になって、闇を溢れさせた。
まるで、自分の身を守るように。
「真! 金華之!」
すぐに輝人が下がりながら指示を出す。
「わかってるわ!」
「鈴、掴んでいろ!」
四人も上空に舞い上がる。森はあっと言う間に闇に飲まれてしまった。
「ぞっとするわね。普段怒らないやつほど怒らせると怖いのね」
最初のコメントを投稿しよう!