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「ふざけてる場合じゃないでしょう! 輝人様、これは!?」
「分からない。だけど多分、これが咲夜の本当の力なんだ」
輝人は嘘を吐いた。
輝人は知っていた。彼女がなんなのかは知らずとも、その力がどういうものなのか、出会った時から知っていた。
それを黙っていたのは、彼女に害があるわけではなかったから。否。あの力が害になることも予想できた。
輝人は自分に伸びてきたその手を払えなかっただけ。
(この事態を作ったのは僕だ)
これ以上、咲夜を放置してはいけない。その確信が輝人にはあった。自分や星羅と同等のちからがあると。
「僕が咲夜を止める」
その言葉は重かった。
その真意を聞かずとも全員が理解してしまうほどに。
「止めるって、どうするんですか」
それでも問うてきたのは鈴だ。
「わからない。どうしても止められないならその時は――彼女を殺してでも止める」
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