761人が本棚に入れています
本棚に追加
金華之と華音が息を飲んだ。自分たちが喧嘩の時に使う『殺す』とは意味が違う。輝人は本当に咲夜を殺そうとしているのだ。
誰もが動けない中、口を開いたのは意外にも鈴だった。
「咲夜ちゃんは家族ですよ」
「それでも。みんなを守るためには仕方ない」
「嫌です」
まるで別人のような即答だった。驚き、歯噛みし、輝人は声を張り上げた。
「じゃあどうしろって言うんだ!」
「殺さないで止めてください」
少しも怯むこと無く、華音はまたも即答した。一歩も譲ることなく、挑むように。
「それができるなら……!」
「できなくて何が家族なんですか!」
声を張り上げるのは鈴の番だった。真に掴まりながら、不恰好なまま。
「諦めないでください! そんな方法、ないのと同じです。私達が同じように暴走したら同じようにするんですか! そうして一人ぼっちになったとき、あなたはなんて言うんですか! 家族を守るため!? 一人ぼっちを家族なんて言うわけないでしょう!」
最初のコメントを投稿しよう!