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それ故に、零也は日溜りの唄を用意するハメになった。
「わかっていたとはいえ、やりにくいですね」
「ここだけというわけでもなさそうだな。この長い通路はすべて、なのか」
「間違いないでしょう。外から中は探れませんでしたから」
「散葉がいるのは間違いないんだな」
「ええ。それは絶対です」
こうしている今も、散葉の気配だけは感じていた。七海が零也を感じることができるように、零也もまた散葉を感じることができる。それはたとえ、距離が離れていても。たとえ、このように霊力を遮断されていても。集中すればいつでも見つけられる。
散葉によってこじ開けられた回路は、いつでもかすかに繋がっているのだから。
「なら行こう。そのために来たんだ。それが、お義姉さまを止めることにもなるんだ」
「はい!」
だが、感じ取れるが故に零也は焦っていた。その変化も感じてしまうからだ。徐々に、けれど確実に。それとは別の気配も感じるようになってきているのだ。それは間違いなく、かつて星神と言われた存在のものだった
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