1.濃紺の幕開け

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 それ故に、零也は日溜りの唄を用意するハメになった。 「わかっていたとはいえ、やりにくいですね」 「ここだけというわけでもなさそうだな。この長い通路はすべて、なのか」 「間違いないでしょう。外から中は探れませんでしたから」 「散葉がいるのは間違いないんだな」 「ええ。それは絶対です」  こうしている今も、散葉の気配だけは感じていた。七海が零也を感じることができるように、零也もまた散葉を感じることができる。それはたとえ、距離が離れていても。たとえ、このように霊力を遮断されていても。集中すればいつでも見つけられる。  散葉によってこじ開けられた回路は、いつでもかすかに繋がっているのだから。 「なら行こう。そのために来たんだ。それが、お義姉さまを止めることにもなるんだ」 「はい!」  だが、感じ取れるが故に零也は焦っていた。その変化も感じてしまうからだ。徐々に、けれど確実に。それとは別の気配も感じるようになってきているのだ。それは間違いなく、かつて星神と言われた存在のものだった                   
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