6人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
木の枝は線香より太いのに、線香並の煙しかたたない……
「まぁ、寒さ凌ぎには丁度いいけど……」
別に害があるわけじゃないし、どうでもいいや。
俺は仄かに暖かい木の枝を持って学校へ向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
体育館の中はストーブが効いていて、外よりは暖かい。因みに、入学式は終わった。高校でも校長の話は長かった。
周りを見渡すと、寒くてスカートをギュッと握る女子や、ホッカイロで遊ぶ男子……まぁ、普通の高校生だろう。
「パス!パス!」
ポスッ
俺の顔面にホッカイロが当たった。
なんか、ぬるい……開けたばかりか?
「どこ投げてるんだよー!あははは!!」
まず、謝ることはしないのか。そして何で誰も何も言わないんだ。
「……あっ」
「……何」
ホッカイロを取りに来た男子が、俺の前で止まった。
「何かお前……他の奴とは違う感じがする……」
何言ってんだコイツ……あと顔近い
「あっそ」
「っと、……ホッカイロごめんなー」
思い出した様に、男子はホッカイロを掴んで離れていった。
最初のコメントを投稿しよう!