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「じゃあ、今日はここまで」
担任が号令をかけて出ていくと、1人の男子が俺の近くに寄ってきた。
「あっ、ホッカイロ……」
「あは、何それ」
ニコニコと笑い、ホッカイロは机に手をつける。
「一緒に帰ろうよ」
「……は?」
あって間も無いのに、何言ってんだよこのホッカイロ。
「よく言うじゃん、出会ったら友達、って」
「言わない」
そんなんだったらそこらでみた他人とも友達かこのホッカイロ。
「俺は八布 暖(ヤヌノ ダン)って言うんだ~」
「わかったホッカイロ」
名前までホッカイロみたいだな。
布はホッカイロの周りで、暖は中身の暖かい奴。
「……暖って呼んでくれないの?」
「うっ……」
コイツ、犬みたいな顔しやがって……っ!
「うぅ……しかたねぇな……」
「え、本当?!」
いきなり輝いたぞコイツ……
「じゃあ、八布」
「……えぅ」
泣きそうになりやがったコイツ。
「暖ー一緒に帰ろうぜー!」
「……あっ、えっと……」
おろおろとするホッカイロ。うん、犬だな。
「明日一緒に帰ればいいだろうが……」
「本当?」
手を握られた。あ、今絶対俺の顔引きつった。
「わかった!楽しみにしてるよ!えっと……」
「本梨信也」
「じゃあ、また明日、信也!」
ホッカイロ……八布は入学式の時に遊んでいた男子達と教室を出た。
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