6、またまた、睨まれる

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……おいおい。 私はゆっくりと夢から覚める。 ……で、その先はどうなったんだい? 私はまた、下の階の永田さんの夢を見ていた。 今回の夢の中の永田さんも、ヤバいくらいカッコよかったなぁ。 ペガサスか。 確かに似ている。 馬顔っていうか、スラッとした体格というか、首が太くてやたら長いっていうか。 しかし、耳が聴こえない夢の中の私を、夢見てる私がどれだけもどかしい気持ちでいたか。 でも、夢の中の私は大好きな永田さんに抱き締めてもらえて幸せそうだった。 夢の中の私。 優しい優しい永田さんと幸せになって欲しいな。 よし!私は着替えて、コンビニへと出掛けようと外出する。 アパートの階段を降りると…… ギョヘッ!…いっ、居るよ、居る! 偶然にも、また永田さんは玄関先でタバコを吹かしていた。 あからさまに、煙たい顔つき。 こっちの方が、あんたのタバコの煙で鼻がヤラレルっちゅうの! 何くわぬ感じで、私は挨拶をした。 「こんちはー」 「…あぁ、どうも」 低い声して、至近距離で睨み付けられる。 コイツはどんだけ感じが悪い! それがまた、カッコいいのが悔しい! しかも、こんなに近い距離でガンガン、ガン見してくるし。ったく、ドキドキするだろがぁ! 気まずい雰囲気を作る、まさにプロフェッショナル! でもまた、そこが溜まらなくカッコいい! 私はチラリと一瞬また永田さんを見た。 すると、やっぱり予想通り。 無愛想に私をジーーーッと、睨み付けていた。 私は、そんなあんたをまたまた、好きになってしまったよ。 「完」
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