2、雷鳴と雷光

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「耳が聴こえないなら、ちゃんと目を光らせて歩けよ、このボケが!」 何で、またペガサスがいるの? 擦りむいた手のひらを気にしながら、チラリと睨み付けられた。 《ごめんなさい、ごめんなさい》 手話で謝った。 すると、 「とにかく、ここじゃ危ねぇから着いて来い」 《ここは、危ないから一緒に向こうに移動しよう》 えっ、何で手話が出来るの? 少しだけ移動して、 「えっと、どうだったっけな…」 《大丈夫か?》 私はその手話に頷いた。 《手のひら、痛くない?》 「いや、俺はいい…」 私は慌ててティッシュを出して、滲む血を拭いてあげた。 「おまえ、もう少し自覚しなきゃダメだぞ。そんなんじゃ、近いうち死んじまうぞ?」 血が止まらない。 どうしたら、いいんだろう。 「おまえ、どっから来たんだ?」 私のせいで、怪我させちゃった。 よりに寄って、こんな最悪な奴に。 「おまえ一人で京都に来たのか?」 私の腕を軽く叩いて、また手話でペガサスは会話してくる。 《ここに住んでるのか?》 私は横に頭を振る。 《一人でここに来たのか?》 私は頭を縦に振る。 「そっか」
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