2、雷鳴と雷光

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高速バスはもう行ってしまった。 あと、一本しかない。 それを逃したら、一泊するしかない。 「もう、大丈夫だ。血は多少出てるけど気にするな」 《もう平気だ》 「おぉうと…おえんなあぁい」 「いい、いい。無理に声出すな」 ……。 優しそうな顔。 よく近くで見ると、昼間の顔と全然違って見えた。 ……。 「なんだ?」 軽く頭を傾げて、私を見る。 ……。 私は、この人を好きになってしまう。 今日だけじゃなくて、また会いたいと思ってしまう…。 ……。 瞳の奥に引き付けられる何かを感じた時に…。 「おい、どうした?」 その手を離す事が出来なくなっていた。 ……。 この手の先に居るペガサスに似たこの人が、私の運命の相手だとしたら…。 《大丈夫か?》 天空を高く優雅に駆けていく。 外見とは裏腹に気性は荒く、雷鳴と雷光を運ぶ。 背中に乗せる者は厳選し、ふさわしくない者は容赦なく振り落とす。 そして女神アテナが黄金の手綱を付け、それによって、ようやくコントロールできるようになる。 《どっか痛むのか?》 私の目の前には、紛れもなくペガサスがいた。
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