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高速バスはもう行ってしまった。
あと、一本しかない。
それを逃したら、一泊するしかない。
「もう、大丈夫だ。血は多少出てるけど気にするな」
《もう平気だ》
「おぉうと…おえんなあぁい」
「いい、いい。無理に声出すな」
……。
優しそうな顔。
よく近くで見ると、昼間の顔と全然違って見えた。
……。
「なんだ?」
軽く頭を傾げて、私を見る。
……。
私は、この人を好きになってしまう。
今日だけじゃなくて、また会いたいと思ってしまう…。
……。
瞳の奥に引き付けられる何かを感じた時に…。
「おい、どうした?」
その手を離す事が出来なくなっていた。
……。
この手の先に居るペガサスに似たこの人が、私の運命の相手だとしたら…。
《大丈夫か?》
天空を高く優雅に駆けていく。
外見とは裏腹に気性は荒く、雷鳴と雷光を運ぶ。
背中に乗せる者は厳選し、ふさわしくない者は容赦なく振り落とす。
そして女神アテナが黄金の手綱を付け、それによって、ようやくコントロールできるようになる。
《どっか痛むのか?》
私の目の前には、紛れもなくペガサスがいた。
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