1、一人が好き

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デジカメ、オッケー。 ミニ三脚、オッケー。 御朱印帳、オッケー。 困った時のお助けノート、オッケー。 地図は、いらないや。 目的地は、今回は京都のこの辺りかな。 私は準備をしていると、母が肩を叩き私に手話で話掛ける。 「こんな雪の寒い日に、出掛けたら心配するじゃない」 ちょっと、怒ってる。 でも一人で楽しめる事は、これしかないんだもん。 私は、一人で京都へ写真を撮りに出掛ける。 私は手話で答えた。 《早く、帰ってくるから大丈夫》 「あぁ…うぅ…」 声に出すと、こんな感じになっちゃうから。 今更、心配だなんてしてくれなくていいよ。 今まで何度も何回も一人で京都に行ってるんだし。 泊まりがけで行った事もある私を母は、なめてんな。 《いってきます》 母はいつも通り、溜め息をついて駅まで車で送ってくれた。 何となく、小さくだったら耳は聴こえる。 でも、雑音が大き過ぎると全然、分からない。 補聴器は、恥ずかしいから付けたくないし。
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