-始まり-

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俺は、香坂知己(こうさかともき)っていう、ごくごく普通……でもねっか。 とある、精神病院で働いてる精神科医。 うちの病院に収容されている患者達は、まあ、その病院によってさまざまなんだけど、俺が担当してる患者ときたら、そりゃ~もう此処じゃ最悪レベルもいいとこ。 ちなみに、精神病院で扱う患者の大半は、重い精神病や神経症の患者で占められてるんだけど、俺の担当してる患者達は、違法ドラッグによって完全に頭がイカれた薬物依存症の人間ばっか。 勿論、そんなのばっかりじゃないんだけど、とりあえずまともな患者なんて一人も居やしない。 それに、一度壊れてしまった人間は、二度と正常には戻れないし。 どんなにこっちが手を尽くして社会に戻れたかのように見えても、短期間で、それも高い確率で再び犯罪を犯してしまうんだ。 薬物に犯された人間の再犯率が多いのっていうのも事実で、誘惑に打ち勝てる人間なんてほんの一握りしか居ないっていうが現状なんだよね。 ほんと、人間は脆くて弱い生き物だよ。 ま、こんなこと言ってる俺もその内の一人に過ぎないんだけどさ。 以前は、APD(反社会性人格障害=サイコパス)の専門医として診療にあたってたんだけど、ある事件をキッカケに怖くなって止めちゃったんだんだ、俺。 ま、その話は追々していくとして。 こうして壊れた人間ばっか診てると慣れって怖いもんで、同じ生活が坦々と繰り返されてくうちにすっげー退屈になっていくもんなんだよね。 ほら、キミにだってあるでしょ? エンドレスのように過ぎていく一日がつまらなく思うことって。 そうなると、何か面白いことはないかな~って、妙な期待なんかしちゃったりなんかしてさ。 こんなこと言ってる俺も、相当病んでる証拠。 ま、そこは否定はしないでおくけど。 そんな時にアイツが現れたんだ――如月 類(きさらぎ るい)。 世界でたった一人の――Psycho Breaker(サイコブレイカー)と認められた異色のサイコパス。 はじめは、丁度いい暇潰しが出来て良かったって喜んでたんだけど、実はと~んでもないヤツだったんだよね……そいつ。
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