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第五章ー自宅にて……ー
うーん、クラス一番人気の城美月さんが僕の上に乗っかっている、しかも夜。 この状況、喜ばない男子はいないだろう。 ただ、手にナイフを持っているのは、あまり喜ばしくない。
「えっと…どうしたの?城美月さん?」
とりあえず、声を掛けてみた。
「…」
無言が返ってくる。
しばらくの沈黙。
どのくらい時間がたっただろうか?とても長い時間だった気がする。といっても、実際ほんの一分、その半分くらいの時間だろう。 そして、城美月さんが口を開いた。
「…彪氣くん、あのね…私ね、転校してきた時から、ずっとね、彪氣くんかっこいいなって思っていたの。付き合えたらいいなってずっとずっと思ってた。それから、文化祭で彪氣くんと共演することになって…私とっても嬉しかった。文化祭がすっごく楽しみだった。それに今日、舞台で彪氣くんキスしてくれたし…私のとてもいい思い出。でね、彪氣くん、とってもかっこいい彪氣くん……………あいらびゅー。付き合ってくださいっ」
「…」
今度は僕が無言になってしまった。
あいらびゅー…ただ、その言葉だけが僕の頭で何回も響いていた。
告白された。らしい…
目の前の城美月さんが夜でも分かるくらい、真っ赤になっていた。
「あっあの、どうでしょうか?返事…。」
城美月さんに告白されて断る男子はいないだろう。 ただ、その手にナイフを持っていたら話は別だ。
城美月さんには何か事情があるのだろうか?
「城美月さん、一つ訊いていい?」
「何ですか?」
「何で、手にナイフを持っているの?」
「ああ、これはね、彪氣くんが告白を断ったら彪氣くんを殺してでも、私のものにしたかったら…」
「えっと…じゃあそのナイフは必要ないね…」
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