351人が本棚に入れています
本棚に追加
****
逃がした魚は大きい……。
なんて思ってない。
思ってない筈なのに……。
次の日から広瀬を気にしないように、見ないようにとずっと目を反らしているのに。
ほら笑ってる。にやっとしてるし。
見てないはずなのに、視界に勝手に入って来る。お陰で一日中、私の心は休まらない。
「……さん、森下さん、今日営業部と飲み会があるんですけど人数が少なくって。って、聞いてます?」
え……。
机に出したまま手をつけられていないお弁当の蓋をしめる。
「だから、人数合わせに来てもらっちゃダメですか?」
あ……えと。
この人は知らないんだ。
最初のコメントを投稿しよう!